2013年10月1日火曜日

何もかも憂鬱な夜に

何もかも憂鬱な夜に
中村文則
集英社文庫

冒頭
一羽の赤い鳥を買っていた。
で始まります。

全体的に暗い雰囲気の内容です。
死、という単語が多く出てきます。
この物語のテーマと関係があるのかもしれません。



死刑執行の描写がある場面は、映画のダンサーインザダークの最後の場面を思い出しました。

主人公は刑務官をしているのですが、刑務官の仕事は僕じゃ務まらないと思いました。
著者の中村文則さんは、自分が刑務官になったわけでもないのに、なぜ独房や収容所の様子をこれほどリアルに書けるのか、興味を持ちました。

この物語登場する人物のような生い立ちや、経験をしたことがある人、そして現在携わっている人がいるとして、僕は彼らにたいしてどんな風に思えばいいのかわからない、と思いました。

僕は、どちらかというと普通の、普通よりは少し変わった?家庭に生まれました。
孤児だったり、犯罪に手を染めたりしたことはないし、学校も、行きたくないと思った事はありましたが、毎日普通に通っていました。
何もかも憂鬱な夜に、の登場人物のような経験に、有る意味、こんなことを言ってはいけないのかもしれないけれど、そんな経験をしてみたいと少しでも思ってしまいました。

所々に性的描写がありましたが、不快なものではありませんでした。
この物語に登場する恵子という女性、または時々登場する女性の存在が、なんだか物語が醸し出す息の詰まりそうな雰囲気に、鮮やかな安心できる色を添えていると思いました。
176ページあたりの、山井に向けた言葉は、おそらく主人公自分自身に向かって言っているように思いました。

末巻の、又吉直樹さんのように、僕にとっても、この作品は特別なものになりました。

一気に読めた作品です。



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