2015年10月31日土曜日

陽気な日 (自作小説) 昼2


みなさんこんにちは。
今日は土曜日で仕事がお休みなので、前回の続きを書いていこうと思います。



昼2


この出店では、ドライフルーツを売るらしく、ディスプレイには多くのドライフルーツが所狭しと並べてある。せっせと準備をする若いお兄さんを見て、「頑張ってるなあ」と思った。

小一時間近くのショッピングセンターで時間を潰した。大きなショッピングモールで、衣食住に必要なものなら全てそろえることができそうなショッピングセンターである。世の中物質的には豊かになったと思うが、消費をとおして感じることのできる幸福感には限りがあるという。
経済指標、株価、成長率を土台にした資本社会で何を幸せの基準にするのか問われたとき、消費という答えが返ってくるのはある意味、必然的なものなのかもしれない。

大型テレビ、高級セダン、高級セダンといえば、ショッピングモールの広場で高級車が2台並んで展示されていた。一体どこから店内に入れたのだろうと訝しく思い、あれほど高級ではなくとも、一度はスポーツカー、今だったらモデルチェンジしたTOYOTA86に乗ってみたいなあとも思った。展示されている高級車の脇をとおり、さきほどの出店がある通りへ戻ってみると、各店舗準備が終わったらしく、ざっと数えて10店舗ほどの出店が軒を連ねていた。

目についたのはスペインのパエリア料理、サトウキビから絞った搾りたて果汁100パーセントジュース、揚げたてチュロス屋さんや中華料理のテイクアウェイができるお店などで、国際色豊かである。

彼女と合流したら、何か買って一緒に食べようかな、と勝手に予定を立て、そろそろ彼女の仕事場の最寄り駅まで行くことにした。
チャッツウッドから一つ離れたアーターモン駅に着き、メッセンジャーで駅に着いたことを告げるメッセージを書いた。彼女に会うためには、シティからチャッツウッドか、今いるアーターモン駅まで来なければならない。彼女が私の住んでいるシティまで来てくれることもある。同棲していないため、時間をかけてお互いのいる場所まで足を運ぶ必要があった。同棲するかと尋ねたこともあったが、今のオウンルームが快適だということで、今以上の条件がそろわなければ引っ越したくないと言われていた。そんな我儘は、一緒に住むことができれば多少快適さが劣るとしても、妥協できるのではないかと心の中で思ったが、先日彼女の住むオウンルームを訪ねて実際過ごしてみると、彼女の言い分が少しわかったような気がした。

シドニーの不動産事情はというと、一年で不動産価格が10パーセントずつ上昇しているらしい。家を買うことができるのは、よほどのお金持ちということだ。賃貸契約においても、家賃は高く、私が住んでいるシティ内のシェアルームでも、1週間$130、つまり一か月4週間で考えると、$520もかかるのである。郊外では少し安くなり、自分の部屋を持つことができるオウンルームの契約でも、彼女の場合は1週間$165という破格の値段で賃貸していた。それに加えて、閑静な住宅街に位置しているため、周りは静かで治安も良い場所であり、条件も良かった。。
インターネットでカップル可能な物件を数週間探してみたものの、なかなか良い条件の物件がみつからず、半ばあきらめかけている。

アーターモン駅はまさに郊外、というような感じの駅だと思う。駅を出てすぐのところに、パン屋さんがあり、そこの店員の愛想がよく、気に入っている。メッセージの返信があるまで、このパン屋さんでブルーベリースコーンを買って食べながら待っていようと思い、店内へ入った。「なににしますか?」的なことをまさにネイティブのオーストラリアンに聞かれる。オーストラリアンのことをオージーというらしい。その事実を知ったのは、ここ最近のことである。このパン屋さんの店員は、おそらく、高校生くらいの地元の女の子、といった感じである。

にこやかな少女の対応に、おのずと私も顔の緊張がとれ、にこやかになる。「ブルーベリースコーンをお願いします。」と答え、望みの商品を注文した。5、6歳は年下だと思われる少女のほうが私よりもきっと人付き合いが上手だろうなと、思う。自然な笑顔、友好的な態度、どれも私の苦手とするものである。見知らぬ人、親しくしている人の前でさえ、なかなか自分の感情を素直に表現することが不得意なところが私にはある。なので、パン屋の少女のように無垢な笑顔を向けられると、安心感というかハニカミが生まれ、心地よくなるのだ。この心地よさが、このパン屋を好きになった理由なのかもしれない。


スコーンを買い店を出て、食べようと包みから出そうとしていると、彼女からの返信が届いた。「暇すぎて、もう帰れることになった」との内容である。そうか、そんなに暇なのか、と半ば感心し、スコーンがお預けになった口惜しさと、一日の残りを彼女と一緒に過ごすことができる嬉しさを感じ、彼女の待つ場所へと急いだ。

2015年10月25日日曜日

貯金兄弟 竹内謙礼 , 青木 寿幸

みなさんこんにちは。
今日は『貯金兄弟』を読んだので、感想を書きます。

人生におけるお金に対する身の振り方を、考え方の違う兄弟2人を通して疑似体験する事ができるストーリーです。
知識的な内容だけでなく、ストーリーも面白く、弟である翔太の不思議な能力が重要な要素になり、ストーリーが進んでいきます。

中間くらいまで読んでいると、「あ、貯金しないとマズイな」とか、「貯金したいなあ」と貯金がしたくなる思考へと誘うような内容でした。
消費者金融から借りて、返済に困ったり、金使いの荒い兄を見ていると、貯金にたいする正義の意識が芽生えてきました。

しかし最後まで読み終えると、結局、貯金ばかりしていても、駄目なのかもしれない、ある程度のバランスを考えてお金と付き合うべきなのかも、という自分なりに解釈しました。

お金のことを心配しないで生活できれば、それにこしたことはないと思いますが、世の中そのような人は割合的にわずかでしょう。
ある程度の貯金を行いつつ、消費するところは消費する。
そんな感じで貯金を以前よりも意識して行いたいなと思わせてくれた一冊でした。
弟の翔太が教えてくれた貯金術など、早速実践したいです。



2015年10月18日日曜日

陽気な日 昼 (自作小説)

みなさんこんにちは。
今日も自作小説、小説というかエッセイのような感じになっていますが、書いていこうと思います。
余談ですが、MacBook Airを使用して書いているのですが、os x el capitanにアップデートしたためか、勝手に漢字に変換する機能が追加されたのか定かではありませんが、この機能のおかげでタイピング速度が速くなったような気がしました。
el capitanについても別のブログでまとめられたらなあと思っています。




私がチャッツウッドに向かうのにはいくつか理由があるのだが、まず彼女に会いに行くためである。同棲していないため、少しの時間でも会いたいという気持ちが働き、彼女の仕事の空き時間や、仕事が終わる夜遅くにも頻繁にチャッツウッドに通うことが多くなっていた。

シティからチャッツウッドまで、ウィンヤード駅から約25分、普通列車だと最大でも30〜35分程度で行くことができる。

ぽかぽかした土曜日ということもあり、6月7月に比べて人通りが多くなっていることに気づく。ほとんどの通行人がサングラスをかけ、男性は半袖に短パン、ある女性はノースリーブを身につけ胸元を大胆に開けている人も見られる。
日本に比べて、肌の露出が多いな、と少し気に留めながら歩いてウィンヤード駅へ向かった。

電車に乗り込むと、心地よい空調の冷気が皮膚に触れる。座席を探し、丁度良さそうな席へ腰掛け、スマートフォンを眺めた。

メールが数件、ほとんどが登録してあるサイトの通知だったり、フェイスブックの投稿である。ミートアップへ参加するかどうかを確認する出欠確認のメールが少し気になったが、とりあえず削除はせずに残しておくことにした。

2週間前に参加したミートアップと同じものであり、この間参加した時はベトナム人や韓国人、インド人といった他国の人たちと、お酒を飲みながら英語で交流することができた。

その中にはテンションの高い韓国人女性がおり、あまりハイテンションになることがない私は、新鮮で多少楽しい時間を過ごすことができたので、気が向いたら再度参加してみようと思っている。

必要のないメールを削除し終わった頃、窓の外を眺めると、ハーバーブリッジを通過するところだった。空にはポツリ、ポツリと雲がふわりと浮いている。上空には青い空、橋の下には青い海、青い色は好きである。オペラハウスは見えないかと、探してみたが、一般車両が通行する一般道に隠れて見ることができなかった。まあ、そんなにうまく見えないよな、と思いながら、再びスマートフォンに意識を向ける。

世の中便利になったものだ。何冊も本をカバンの中に入れて持ち運ばなくても、スマホ一台あれば、読むことができる。
紙媒体の方がしっくりくる、という人もいるが、場所を問わずに好きな書物を読むことができることは素晴らしいことであると思う。

数字の0と1の世界、コンピューターの世界をもっと知りたいと最近考える。パソコンは、2進法しか理解できないらしい。その理由など、何かのサイトで見たが、忘れてしまっていた。人間の脳は、何かと忘れっぽいようだ。
長期記憶にするためには、人に説明出来るくらいにならなければいけないらしい。

いろんな本を読んできたが、読んだもの全てを説明出来るほど私の頭は高性能ではないようだ。
ハーバーブリッジを通過し、3駅ほど郊外の駅を通り、いよいよチャッツウッドへ到着した。

電車を降り、エスカレーターで階下に向かい、改札をくぐる。改札の向こうにはMcDonald’sやブレッドトップ、寿司屋などの店舗が並んでいる。アジア人が多く、シティと比べると清潔感のある町である。お腹がなり、空腹を覚えたので、ブレッドトップでパンを3つほど買った。

「さて、彼女の昼休みまで何をして過ごそうか…。」と考え、いつものように、良さそうなカフェで時間を過ごすことにした。
ブレッドトップのある通りから、大きなショッピングモールのあるストリートへ向かう。ビクトリアアベニューは両脇にカフェやデザートショップなどが並ぶストリートで、中央にはベンチやちょっとしたスペースがあり、時々各国の出店が出店することもある、素敵なストリートである。

今日も出店があるらしく、中東っぽい出で立ちをした男性が、テントの準備をしていた。


<つづく>

2015年10月6日火曜日

僕だけがいない街 <1巻>

みなさんこんにちは。

久しぶりに漫画を読んでみました。
全六巻のうち、1巻目をAmazonのKindleで購入し、読みましたので感想など書いていこうと思います。

ほんわかした感じの表紙とは裏腹に、内容はミステリアスで、主人公(悟:さとる)は時間を過去に遡るという不思議な現象を体験します。
時間を過去に遡る現象はリバイバルと呼ばれ、主人公の意思とは関係なく発動し、なんらかの「違和感」を見つけることができれば、もしくは未来に起きる負の出来事を回避することができれば、リバイバルはおさまります。
このあたりのことは、ネタバレになりそうなので、割愛しますが、読んでいけばわかると思います。

私が特に引き込まれた点は、主人公の悟が自分のことを「何もない人」と考えている点や、漫画を描きつつバイトをしたり、女子高生から尊敬されていたり、「何もない」と考えている割には一応、作家としてデビューしていたり、決してイケイケではないけれど、夢を追いかけて漫画を描いていたり(一巻である現時点では)、過去に明らかになっていない影があったりと、次巻を読みたくなる要素が多くちりばめられていると感じました。

巻末の終わり方も、多少ストーリーの流れを推測できるものの、これからどうなっていくのかわからない点も、読者を引き込む要素ではないかと思いました。

次巻も近いうち、購入しようと考えています。
ちなみに、以下のサイトで1話部分のみ読むことができるようです。

リンク:コミックウォーカー






追伸:先週の土曜日から今日まで、シドニーはとても暑い日が続いています。明日は少し和らぐようですが、配達をしている私にとっては日差しが強烈で少し苦戦気味です。スイカバーが食べたいです。





2015年10月3日土曜日

陽気な日 (自作小説)

みなさんこんにちは。

日本はもう秋でしょうか。
オーストラリアシドニーは、だんだんと夏の陽気になっています。

今日は短編小説を書きます。






私は今オーストラリアにきている。ワーキングホリデーという制度を利用し、勤めていた会社を辞め、一世一代の大冒険へ乗りだそうと意気込んで来てみたのは良いものの、近頃シティでの生活に飽きを感じ始めていた。
オーストラリアの都市シドニーで生活をはじめてから早くも3ヶ月が経っていた。シティは人が多く、必需品や奢侈品もなんら困ることなく買うことができる。また、シティにはパブが多く点在しており、徐々に暖かくなってくる9月を境に、日中からパブでお酒を嗜みながらお喋りをする人々もみられるようになってきた。
天気予報によると、季節的には春というのにもかかわらず、異様に気温が上がるらしい。最高気温は33度、ということだった。暑いのが苦手な私は、すこし気持ちが萎え、春でこの気温なら、真夏はどれくらい気温があがるのだろうかと、先のことに不安を覚えた。
20代も後半を迎え、昔に比べて時間の経過が早く感じられるようになり、休みの日を怠惰に過ごすことが罪に感じられるようになってからというもの、午前中の時間に勉強や用事などを済ませないと気持ちが落ち着かないようになっている。
なので週末は、9時までには身支度を整え、カフェや図書館で過ごす習慣ができている。今日もその習慣どおり、ビューティーアンドユースのトレザーとコムサイズム七分袖のVネックTシャツに、高校卒業祝いに父親からもらった腕時計と、お気に入りのブレスレットを身につけ、州立図書館(state of library NSW)へ向かった。住んでいるアパートメントを出ると、心地よい日の光が体中に当たった。午前中ということもあり、まだ人の流れは緩やかで、比較的落ち着いた雰囲気だ。
通りを歩いて図書館へ向かう。向こうから歩いてくる人々を観察しながら、てくてくと歩を進める。視界に入るのは、ビル、車、カフェ、チャイナタウン、道行く人々だ。シドニーはなんだかごちゃごちゃしていると私は思う。オーストラリアは移民の国とは良く聞くが、確かにアジア系住民、特に中華系勢力は強いように感じる。
爽やかな風を肩に感じながら歩いて行くと、徐々に体が汗ばむのを感じ始めた。肩掛けのボストンバッグにはMacBook Airと財布、日本のスタバで購入した水筒、小銭入れが入っており、小柄な私には少々重く感じられるほどである。そのため、2キロほど歩いた後、バスに乗ることにした。シドニーではオパールカードという公共交通機関で利用できるプリペイド式カードがある。日本のSuicaやPASMOのようなもの、といえばピンとくるだろうか。このカードは週に8回利用すると、次の乗車では運賃が無料になるというシステムが採られている。例えば、月曜から木曜までで各日2回ずつ利用すれば、木曜日の往復までで合計8回利用したことになり、金曜日からは無料でパスや電車、フェリーまで無料で乗車することができる。
仕事上、金曜日までに8回利用する私は、毎回週末になると無料で交通機関を利用することができるこのシステムが大変気にいっている。なんだか得した気分になるのだ。このシステムは、日本と違って休日は外出することが少ないらしいオーストラリアの住民を、なんとか外出させようと試みる政府の政策らしい。確かに、休日のシティは、少し人が少ない気がする。人ごみが嫌いな私は、休日、特に土日の早朝が大好きだ。
バス停に辿りつき、バスを待つ間、フェイスブックのメッセージを確認する。彼女からのメッセージが3件。嬉しくなって読むと、「昨日は飲み過ぎて眠たい」とか「今日も仕事だ」とか「今日も会いたいね」との文章が目に入る。「うん、今日も仕事がんばって」「はやく会いたいね」と返信し、バスを待った。バスが到着して乗り込んだ。オーパルカードを電子機器にタッチし、座席を探す。高齢者専用の座席しか空いておらず、すこし座るのがためらわれたが、お年寄りはいないこともあり席に座った。向こう側の席にはブロンドのいかにもオージーらしい若い女性が座っていた。サングラスをかけ、ノースリーブで色の白い白人女性だ。外見から判断するとやはりおそらく、オーストラリアでの生活が長いのではないかと想像出来る。乗車して10分足らずで、州立図書館近くのバス停まで到着した。そのバス停で下車し、250メートルほど徒歩で残りの道を行く。道中、ローカルのカフェがあり、美味しそうなサンドイッチや、店外に設置されてある座席で朝食を取る人たちを羨みながら足を進めた。
図書館に着くと、併設されているカフェに向かい、ロングブラックとハムサンドイッチを注文して食べることにした。カフェの店員は、彼女が話す言語から判断するにタイ人らしい。私が抱くタイ人のイメージは、フレンドリーで親切、だ。「こんにちは。ご機嫌いかが?」と、注文する際に買わされる一般的な定型文が店員から発せられる。「ロングブラック一つと、ハムサンドイッチを一つください。」と私は店員に言った。しかし女性が持ってきたサンドイッチは、私が望んでいたものとは異なるものだったので、「それではなく、これです。」と指を指して言うと、理解したらしく「10ドルです。」と女性店員。「持ち帰り?」と聞かれ、実際は店内で食べるつもりだったが「持ち帰りで。」と応えた。ドリンクとサンドイッチで10ドル。まあ、物価の高いオーストラリアでは妥当な値段である。注文したサンドイッチには、ハムとトマトとチーズが挟まれている。なかなか美味しかった。

12時まで図書館に併設されているこのカフェで勉強した後、私はシティの北、ハーバーブリッジを超えたところにあるチャッツウッドという町へ向かうことにした。


<つづく>